赤く色付き始めたコーヒーチェリー。
収穫が待ち遠しいこの写真がiPhoneの待受になって早1年。
誰しもいくつかは人生のうちに行ってみたい旅先バケットリストがあるであろう。
筆者にとってコーヒー農園は長年その1つだった。
その昔バックパッキングで訪れた東南アジア、ミャンマーのニュワンシュエ。
近年熱いミャンマー産スペシャルティコーヒーの火付け役、ユワンガンの農園まであと少しのところ。
リサーチ不足、並びに無計画なゆえシーズンではないと断られ終幕。
それはともかくミャンマーは本当に魅力的な旅先であり政情不安が一早く解消されることを願ってやまない。
振り返ってみればコーヒーファーム訪問が旅の最優先事項でなかったのは事実。
行き当たりばったり運任せ、いつか行けたら良いなでは叶わない…
そう思いきや今回たまたま、本当に色んなタイミングが重なり働く船がグアテマラへ。
そしてショアエックスカーションの一環として農園に連れて行ってくれた形。
ありがとうプリンセスクルーズ。
コロナ明け他の船にだいぶ遅れ再開したダイヤモンドプリンセス。
羽田から飛行機でサンディエゴへ行き乗船。
西海岸からメキシコ、バハ半島を中心にした1週間クルーズを展開していた。
そんな航路で唯一の 2週間クルーズ。
メキシコからコスタリカ、パナマまで行きグアテマラに寄り戻る航路。
コーヒーベルトにすっぽりのここを逃したら二度とチャンスなないと言い聞かせ。
マヤ文明発祥の地グアテマラ、港の名はプエルト・ケツァル(PUERTO QUETZAL)。
貿易、観光における重要なハブポートで世界遺産アンティグアへの入り口だ。
ケツァール(ケツァル)とは世界一美しいとの呼び声が高いグアテマラの国鳥。
ただの鳥ではない、通貨の単位にまでなる人気っぷり。
また自由を奪われると死ぬという伝説から自由の象徴だとか。
生まれ変われるならこの鳥になりたい…
語源はアステカ (中央メキシコの文明国家)主要言語だったナワトル語由来で、「大きく輝いた尾羽」。
ケツァール…その響きは少年時代、恐竜オタクだった筆者には耳馴染みのあるワードだった。
世界最大の翼竜ケツァルコアトルス(Quetzalcoatlus)
頭が大きすぎて飛べなかった説まである面白い恐竜。
翼を広げた長さは10m、重さは200キロ。
全て推定というところがまた空想に浸れて良い。
ちなみにその恐竜の方の名前の由来、それはアステカ神話の最高神ケツァルコアトル。
鳥の方のケツァールはこの神の使いという立ち位置らしい。
民衆に文化を授けたと言われ同時に農耕の神、風の神。その姿は羽毛ある蛇。
情報が渋滞し困惑。
話は戻り、そんなプエルト(スペイン語で港)ケツァルからバスでコーヒー農園ツアーへ。
船を降りた地点は海抜0メートル、そこから火山を横目にグングンと山道を登っていく。
温度は次第に下がり、パナマと比べたらまるで天国。
1時間半かけてやってきた農園の標高は約1500m、アウターの出番。
FINCA COLOMBIA
https://maps.app.goo.gl/KiBZ5Y1CWXc9Nmw56?g_st=ic
出迎えてくれたのは二代目のオーナー、ルーツはスペインらしい。
クルーズのエクスカージョン先としてビジネスを拡大し地域に還元する敏腕ビジネスマンとみた。
コロンビアと名乗りつつも所在地はグアテマラ、アンティグア。
ややこしい。
雑誌や本、またはコーヒー豆のラベルでしかなかった世界が目の前に。
現地で五感を通して得る知識はやはり貴重なのだと再確認。
イエローブルボンは先代のお気に入りの品種なのだとか。
火山性の豊かな土壌、豊富な水源に長い日照時間。
一般的にコーヒーの木は花をつけるまで約3〜5年、ようやく背丈が1mほどに。
そこから実をつけるまでにまた3年以上かかり寿命はおよそ30年…
そんなガイドの説明に遅れをとり写真撮影に夢中なこちらのおじさん(と筆者)。
奥さんと参加した彼ら夫婦はサンフランシスコで経営していたカフェを手放したらしい。
今やケツァールのように自由の身なのだろうか。
実際に畑に足を伸ばしたのが今回が初めてと聞けば冷静ではいられないのも納得。
そういったゲストの背景を少しでも垣間見るとクルーズはもっと楽しくなる。
農園チームの一員として働くアメリカ人ガールの熱心な説明はさらに続く。
木を直射日光から守るオーストラリア原産のシェードツリー。
日傘の役割を果たしチェリーの成長、均一な熟成度合いをアシスト。
スペイン語…COSECHA、意味はHARVEST(収穫)
訪れたのは12月初旬、これから始まろうとしている収穫シーズンはロットごとに乾季の終盤3月まで行われる。
水洗式(ウォッシュド)の精製施設はまだ稼働していなかったものの興味深く拝見。
最終形態のコーヒー豆は種子だということは知って損なし。
チェリー(実)の皮と果肉を除去してから、薄く残った粘膜を発酵させて分解する工程が必要。
顔を出した豆(種子)は乾燥、脱穀を経てようやく生豆の状態に。
対植物、対自然。
大好きなコーヒーが生産されるまでの長い月日と生産者の思い。
一度きりのグアテマラ寄港で得た体験、感情を今後も忘れないように。
終わりにフィンカコロンビア農園 の特筆すべき点について。
それはツーリズムと結びつけコミュニティに根差した運営体制を構築していること。
クルーズの乗客をツアーとして受け入れるだけでも十分すごいことなのだが。
レストランやお土産店など雇用を生み出し、その利益でローカルキッズが通うプールやサッカー施設を併設。
コーヒーを根幹とした産業が地域社会に還元され次世代の教育二まで関与している。
このフローを体現しているのは本当に素晴らしい。
ゆっくりと農園、施設を一周しツアーは無事終了。
いよいよ待ちに待ったコーヒータイム、手作りのクッキーを添えて。
そのお味は…。
鮮度と同じくらい大事なのは焙煎と抽出だということを学ぶいい機会に。
前回の外出時にパナマゲイシャいただいてる分なおさら。
一際異彩を放つスカルマグを迷った末にダブル購入。
こんな勢いでマグを買っているので家にはかなりな量のコレクションがプチプチに包まれている。
以上、コーヒーベルトクルーズのフィナーレ、グアテマラで念願のコーヒーファームでした。
英語をやり直そうと思い立ったその昔。
勤務先の工場からほど近いマクドナルド、勉強の相棒はいつもブラックコーヒーだった。
クルーデビューの8ヶ月無休香港クルーズ船。
心身共に疲弊しきった筆者を暖かく迎え入れてくれたの台湾、基隆の裏路地カフェ。
そしてフォトグラファーでプリンセスに移ってからもコーヒーショップ開拓は続き東南アジア、ヨーロッパそして中米、コーヒーベルトへ。
カフェインの力に鼓舞され、支えられた20代。
そういっても過言ではないだろう。
次回、太平洋横断。日本が近づいてきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。