All in my head

1994年生。元客船クルーの航海日誌 / IG @imknto はリアルタイムで更新中。

短くて長い下船後の半年 今の日常と心境

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酷暑の8月。久しぶりに更新するブログ。

これと言って書く内容が似たような毎日の中に見つからず、以前のようなどこかへ行きたい葛藤も消え失せた。

その影響で表情が固くなったのかスマホの顔認証が動かないのでパスワード式に戻したほど。

 

いつも通り重い扉を開ければつんざくような機械の回転音と共に続々と段ボールが落ちる無数のレーン。

深夜の冷蔵倉庫は今日も大忙しで蛍光イエローのベストを着た社員さんがシーバー片手に走りまわる。

この騒音の中、耳栓していないと正気を保てなくなっている自分からしたら無線で会話してるだけでも凄い。

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4ヶ月同じ作業していれば上達するのは当然でマネージャーに褒められることもある。

今月から始まった1時間の早出出勤はその証し。

 

同じ派遣会社の人たちを除く大半は一方的な顔見知りでこそあるものの話すことはない。

いつも結っている髪の毛を下ろしたら腰くらいまである人、いつも不満そうで何かに怒っているのか疲れているのか人相が曲がっている人、稼ぎたいからと毎晩早出のシフトを入れておきながら3日間来ない人…などなど十人十色。

日本に家族を持つ南米出身の仲良しママさん2人組とはこっちが知っているスペイン語を喋ったのをきっかけに少し話すようになった。

同世代は少なく親世代が多いのも特徴。

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ドイツ映画 コーヒーをめぐる冒険の中で父がふらふらしている主人公の息子に言う「髪を切って、靴を買い、人並みに仕事を探せ」というセリフが忘れられないのはそこに反論の余地がないから。

印象は髪型と足元でほぼ決まる。

無造作に伸びた髪の人がある日、かりあげどこかスッキリした表情の日には思わず声をかけたくなる。

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スタークルーズにいた時こっぴどく言われ続けたグルーミングは大事だとここにきて実感。

クルーエリアのあちこちにあったなんちゃってバーバーがやたらと恋しい。

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24時間ひっきりなしにトラックが出入りし納品を繰りす中で夜更に来る工場直送パン台車はちょっと見入ってしまう。

落ち着きのある青色に漂う疾走感(新幹線)。

力一杯押しつつ内輪差を踏まえて描く華麗な曲線は運転手のテクニック。その様は見ていて気持ち良い。

そして通り過ぎた後に残る微かな小麦の香りが後を引く。

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作業が一段落する4時半にエナジードリンクを飲むのもルーティン化。1日1本は守る。

左は今働いているところのPB、みなさまのお墨付きシリーズ。

パッケージ破損や賞味期限切れなど訳あり商品の物販が開かれ初めて買ってみた自社ブランド商品。

普段ケースで流れてきて積むだけのモノとしか見ていないが実際に自分で口にする機会があるのは素直にありがたい。

 

6時。待ちに待った勤務交代。夜9時からの8時間労働が終わった。

休憩室だけでなく各フロアのあちこちにあるあまり響いてこないグループ創業者の名言壁紙。

ラインのスタンプにでもしたら良い。

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疲れた体にはプロテインのご褒美を。

アメリカ製の武骨なデザインの割りにイチゴ味で飲みやすいAmazon購入品ゴールドスタンダード

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外の気温はすでに30℃を超えその急激な気温差に耐え抜く40分のサイクリングがここから始まる。

照りつける朝陽を見て思い出す太陽は東から昇るという野球部を鼓舞する顧問の言葉。

今思うとなかなか当たり前なことに気づく東高OB。

埼玉東部、東武線、関東、東日本、東南アジア…西より東の方が縁がある気はしなくもない。

そんなことを考えながらゆで太郎の朝そば経由で帰路に着く週4の夜勤。

 

通勤路の景色 自宅〜倉庫間

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カメラを持っていつもの道中にあるモノを撮ろうとこの夕焼けを見て思い立った。

夏らしい雲とのコントラストが美しい時間帯に家を出ると通り道にある巨大ショッピングセンターに立ち寄りがち、アウトレットもありこの後働くから理由をつけて小物買いがち。

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地理的にトラックが頻繁に行き交うここ一帯。

オレンジとブルーの照明が混ざり合いまるでグラセフのワンシーンのよう。スマブラのフィールドとしても悪くないだろう。

不意に出会すONEやEVER GREEN、COSCOといったカーゴを積んだトラックは船を連想させる。

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地元の卵自販機小屋は夜になると急激にノスタルジックな雰囲気に包まれ中に入るとジュラシックパークの世界観。

ちなみにここの卵めちゃくちゃ美味しい。

閉まって月日の流れが止まったような居酒屋の外観もお気に入りだ。

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脳内をクリアにできるチャリ通。

おそらく今やれることはやっている気もするし、我慢の時なのは理解している。

ただ行きたいところにに行けず、会いたい人に会えない。それだけのこと。

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変わりゆく時代に変わらない地元の景色に思うのは出るに出れない歯痒さのみ。

 

まとめ

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家に着く7時

電気職人の父はとっくに家を後にし現場へ。浅草に行く身支度をする母は着付け師で2人とも働き者である。

暑い日の夜勤明けは特に情緒不安でため息しか出ないままシャワーへ直行。

何もかも嫌になり投げ出し逃げたくなるが自分だけ何もしないで殻に閉じこもっている訳にもいかない。

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自分の洗濯は自分でやるし、家事も手伝い気まぐれで料理もする。あまり多くなかった家時間。

映画を観て、音楽を聴き、美味しいコーヒーでも淹れて月に1、2回理容院でかりあげられる陸生活にも普遍的な幸せがある。

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今後、免許や資格を取り派遣もやめて職人の道へシフトチェンジしていくのはほぼ確定。

まだ先行きの見えないクルーズとは裏腹、見えすぎる親方提示の今後一年の育成方針プラン。

考えれば考えるほどに船は遠ざかってゆく。

戻れないか戻らないか、、そこに反映される自分の意思はたった一文字の差。

 

25歳最後の悩ましい夏はもう少し続きそうだ。