待望の乗船を果たしたスカイプリンセス。
フォトグラファーの筆者は今日もヨーロッパのどこかで航海を進めている。
拠点となるのはイギリス南部の港町、サウザンプトン。
プリンセス以外にもキュナード、MSC、セレブリティ、ノルウェージャン、P&Oといった世界を代表するクルーズラインが就航。
北西ヨーロッパクルーズの入り口といえる。
北欧、バルト海そして地中海と様々な気候を旅する日常。
肌寒さの残るエンバケーション、
春風爽やかなエンバケーション、
そして真夏の陽射しが照りつける炎天下エンバケーション。
唯一季節の変わり目をしっかり感じられるのはターンアラウンドのサウザンプトンだ。
早いもので気づけばもうコントラクトの折り返し。
今のところ予定通りゲストと共にクルーズ出来ているのは何よりの喜び。
土曜日の朝。
ターミナルを埋め尽くす下船したゲストのスーツケース。
昼前の11時、下船を終え新たなゲストが乗船を開始。
乗客数はクルーズ(航路)によってかなり差があるものの、一週間クルーズの場合はフルキャパシティの3700〜800人が乗船。
ついに活気溢れる船内がかえってきた!
無人の船内を知ってしまった以上、それだけでもエモーショナルな光景。
現状マスクは必須でなくなりあくまで推奨という形。
オープンデックやギャングウェイなどオープンエアかつゲストとの距離が保てていれば我々もマスクは強制ではない。
キャプテンスタンリーも長い冬眠からお目覚め。
出航時のSail Awayパーティから感じる凄まじい熱気。
初日の雰囲気、バイブスでだいたい把握できるゲストの期待値。
それらはクルーズの売り上げを大きく左右する。
大抵2日目はシーデイ、(終日航海日)。
1週間クルーズ場合家族の域を超え親族御一行で乗船するゲストも少なくない。
イギリスでは連休まとめて1週間くらい普通に取れてしまうのか…。
プールサイドは朝から家族連れでごった返す。
溢れる笑顔と歓声。
デッキ16階はプール、ジャグジーそしてブッフェ。
食べて寝て遊んでを繰り返してたらフォーマルナイトの時間。
私たちもネクタイを占めドレスアップ、いつもより気合いが入る。
どの船も使うカメラはニコンd7200、シグマの17mm〜50mmレンズ。
船の華ともいえるアートリウムが筆者の定位置になった2カ月目の終わり。
景色が良い船の中心、写真もセンターを決めて垂直、水平がとても大切。
空間を真っ直ぐ撮るのは意外と難しい。
パンデミック以降ダイニング撮影がなくなったこともありポートレートの質が売り上げに直結。
家族、子どもの多い1週間クルーズは大変な賑わい。
一呼吸おく間もないほど次から次へ来るゲスト。
長蛇の列が出来る時も、、そんな時はポージング少なめの質意識でパパッと撮って次。
あまり待ってはくれないブリティッシュ。
スタジオの営業もしつつ少なくても600〜多いと900枚、約45〜60組を約4時間半かけて撮影。
ミュージシャンのゴメスがモデルになってくれた。
ちゃんとポージングして少し笑ってくれるだけで十分な人たちが大半で特に何もしなくても映えるのは少々羨ましい。
片付け、撤収し終わるのは11時過ぎ…出来が良ければ心地良い疲労感。
フォーマルナイトは1週間クルーズで2回、2週間の場合は3回開催される。
●クルーの醍醐味ショアリーブ
シーデイ挟めば寄港地に到着、待ち侘びたポートデイ。
仕事があるからこその休み。
乗船したその日から船内サニテーションレベルが2から1に引き下げられたお陰でコロナ前同様、自由な外出が可能に。
乗船時、1番の心配事はタイミング良く解決。
大歓迎の初耳寄港地。
親しみのなかった地図上に写真と思い出がどんどん増えていく新感覚。
景色はどこもとにかく目の保養。
プライベートタイムを楽しむ一時。
これまで寄港した国はスペイン、カナリア諸島、ジブラルタル、ポルトガル、フランス、イタリア、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、エストニア、アイスランド…。
これがヨーロッパの船旅か。
まるで実感がないが増え続ける写真が証拠。
本音を言えばもう少し時間が欲しい。
出来ればオーバーナイトしたいなと切に思うがそこは宇多田ヒカル2時間だけのバカンス。
足りないくらいがちょうどいいのかもしれない。
写真はまた後ほどまとめようと思う。
●クルーズのエンディング、ラストシーデイ
最終日はほぼほぼ終日航海日。
総売り上げの70〜80%を占めるこの日、チーム全員で撮りためた写真を一気にアウトレット。
デジタルシップのスカイプリンセス、ギャラリーにて顔認証搭載のタッチパネルで写真を選ぶ。
デジタルファイルはその場でQRコードを読み込むだけ、とっても簡単。
プリントは希望する場合のみ印刷と非常に効率的に。
時代は令和だ、、ブリティッシュ関係ないけど。
さらにマグカップやメタルパネル、フォトブロックなどこれまでになかった新事業が加わりこれまで以上に船の写真屋さん気分。
写真をよく撮るゲストとは顔見知り以上に親しくなるもの。
キッズが心を開いてくれれば(親の教育次第)ユーススタッフにだってなれる。
別れが惜しい。
朝から晩(時には深夜)までオーダーに追われながらも忙しさより写真がゲストの手元に届くやりがいが勝つ1日。
食事する時間もままならないので朝食しっかりと。
最終日のラストシーデイは時間があっという間に過ぎる。
最終日の終盤、売り上げ目標を達成すればご褒美をもらった気分。
そこまでセールスを意識し仕事している自負はないけれど。
より良いイメージを追求し期待以上の写真が撮れれば必然と物事はうまくいく。
写真以外にもチームメイトから学ぶことはたくさん。
やはり船での生活は刺激に満ち何より楽しい毎日。
時には温泉に浸かりたいし無償にラーメンが食べたくなるけれど。
異国の地(海)でもう少し武者修行に励もう。