ランナウェイしたところをランナウェイしてミルデューラに出戻りたいとボスに電話し謝ってまたここで心新たに再出発することになった。カッコ悪いのは承知の上で1番これがオーストラリアに確実に残る方法だと思ったから。
グレープは前見た時よりかなり成長し身長を上回る位置まで葉が伸びていた。
葉が成長していくと共にスピードは凄まじく気づけば胞子レベルの実が誕生し毎日見ているとまるで我が子のような気分に。次の段階は葉を落とす仕事(thinning)が始まる。これも歩合制で木一本に対して$1という計算で木が列になっており両サイドに分かれて一本ずつやるのでまた➗2、二本やって$1だ。だんだん速さに差が出来てきて速い人は一列を折り返して自分側のレーンを逆からやり始める。ぶつかったらそこで1列終了。次の列へ…という流れ。
さらに成長を続けるグレープは1つの木に信じられないくらい量の実を幾つもつけていく。しかしそうなると1つの房の成長にかかる時間が長くなりかグレープの粒が小さいまま。なのでいらない房と房の赤ちゃんを取り除きつつ実に日が当たる陰を作る葉っぱも一緒に取り除くのが次の段階。
8月から9月になりオーストラリアに夏が訪れ空は青さをます。乾燥している地面はまるで砂漠の様。
この時のファームシューズはニューバランスで超無難は547、ソールが柔らかく畑仕事も快適だ。暇は結んだ方がいいと今は思う…常に短パンだったので足の日焼けが警戒レベルに。
このグレープは全てワイン用で成長していくと赤く色付いていくのだがその日はまだ先だ。
↑彼が僕らのファームを総括するイングリッシュネームがジェイコブのコリアン。徴兵時代はかなり上の特殊部隊にいたらしい。いっしょに生活していてバスの運転手で彼のバス内で流す音楽のセンスは素晴らしい。
実の成長は一目瞭然、その生命力には驚嘆する。
ちゃんと木一本ずつ見ながら必要以上にあるグレープの房と実に陰を作る葉っぱを容赦なく落としてカニのように横に進む。次第に実が膨らみ始め色が赤みがかっていく。
マジョリティは蛍光オレンジ。たまにイエロー。
休憩はバスの中か良いところがあれば外でランチ。各自にマイポジがあり自分は最後尾。
このカンガルーにヒットしてフロントライトが割れているセダンがブンブン畑を走ってくるとグレープ畑全体の空気がはりつめる。
ママカミング!!自分たちのやった木の列を後からチェックするのが現場のボス通称ママの仕事だ。彼女は私たちとは別で現場のファームに雇われているので当たり前だがより厳しい。このバッドガールとステッカーがあるセダンがやってくると自分たちのスイッチが入れ替わりより神経を使って仕事をしなくてはならないがそれで手遅れの場合もあり…
集合がかかりFワードを連発し正しいやり方を実践、ジェイコブに怒鳴りつける。そしてジェイコブが改めて分かりやすい英語、そしてコリアンには韓国語で説明して再開。ジェイコブのポジションは中間管理職のようなものでつくづく大変そうだった。
改めて日本人と韓国人しかいない特殊な職場環境。ミルデューラに帰ってきたからグレープthinning は1ヶ月半ほど続き私たちの葉を落とすスピードは凄まじい速さに達していた。もうすぐ見守り続けたグレープたちのピッキングは目前だ。