それは突然の知らせだった。thinning を続けていたグレープたちがようやく実り始め来週から収穫なのにファーム側とピッキングの交渉が破談し他のファームからメロンがまわってきた形らしい。ただの言いなりになるのではなく利益が出なければ他に変えるというファームも至極シビアな世界だなと改めて感じた瞬間だ。
急遽ミーティングがあり今夜9時集合!と言われみなざわつく中、2グループに別れた。
臨機応変に、フレキシブルになんて綺麗事がモットーだがさすがに意味がわからない。箱(bin)の大きさはオレンジと同じで実1つの大きさを考えれば当然埋まるのは速い。
メロンの1ビンあたりの値段はあまり記憶にないが今までのハーベストジョブで一番稼げたのは間違いない。
週給$700は超えていたと思うが金額以上に体力の限界と戦っていた。夜9時から次の日の昼過ぎまでやって、また次の日夜からなど理解不能だ笑 誰もまともに夕飯を食べれていなかったし喉を通らなかった。
日が沈み暗闇の中、手元を照らすトラクターについた光を頼りにピッキング開始。
畑に一眼レフカメラを持参したのは筆者だけだが間違いなく正しい判断だったと空を見上げて思った。
深夜の休憩1時間、畑に寝転び見上げる星空に言葉を失う。
天の川や流れ星もはっきり見えまるで天国のよう。視線を落とすと今度は地平線まで果てしなく続くメロン畑は地獄でしかない。
夕日と逆のカラーリングで朝が来る。メロンを採っているうちに朝日が昇りグラデーションで明るくなっていく当たり前の事だその一連をあのスケールで目の当たりにしたことはなかった。
眠気が遅い足元がガタついてくる朝5時〜6時。
生えてるメロンをただひたすら採れればいいと思ったら大間違い。
トラックにはファーム現場のボスがまたがりビンの中のメロンを厳選しておりいれてもいれても弾かれたら元も子もない。
今までは木陰があったが地上戦のメロンに遮るものは何もなく日中になればなるほどきついのだ。
一歩踏み出し右手でメロンを抑え左手の手刀で蔦を切り右手でかつぎベルトコンベアに投げ入れ足を入れ替える。この無限ループでトラクターを先頭にゆっくり進み続けること10時間以上…。
日が昇るとマインドコントロールが効かなくなってハイテンション。(※葉っぱを吸う人はいないクリーンな職場感覚です。)
よくて朝9時、ひどい日は昼の2時まで採って1日が終了。
ピッキングしたメロンが入ったボックスの倉庫を抜けバスに生還。ファームが差し入れてくれた冷たいコカコーラが喉を駆け巡る。
バスで寝てモーテルに着き部屋の階段を登りきったところで体力がゼロになった同室の廉さん。
シャワーで落とす足にこびり着いた農薬痕。
スーパーに買い物に行ってもついつい見てしまうメロンの柄、この夜勤生活が2週間続きメロンの需要も落ち着いたところで自身ファームでトータル110日以上が経過していた。
よって無事セカンドビザの権利を取得、フォームにファーマーのサインをもらっていよいよファームライフは終焉を迎える。