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1994年生。元客船クルーの航海日誌 / IG @imknto はリアルタイムで更新中。

グリフィス/畑仕事③ 因縁のチェリーと適性を見出したガーリック🇦🇺

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グレープからランナウェイしたのにまたグレープというのが今回の話。シトラスピッキングのシーズンが終わり次の畑がグレープに移行しつつあった7月上旬。

チームは半分に分かれ自分も含めた10人は最後のオレンジピッキングへ。残りの10人はグレープ畑が新たな職場となった。グレープの苗が小さいうちに木を埋め込み苗木はその木に向かい成長していく。そして木の間にロープに巻きつけるのが最初の仕事だ。とにかく地味で太陽が照りつける中延々と続く木の列にロープを巻いていく作業なゆえに稼げないというのだ。
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ちょうどそのタイミングでやってきた日本人2人がいた。1人は坊主で実家が由緒ある奈良の寺のお坊さん、27歳。

もう1人は大阪出身で少年院にいたという全く英語が喋れないけど運だけはいいと自負する兄ちゃん20歳。ジャンキー。

オーストラリアではいろんな日本人に会うがその筆頭格は間違いなく彼ら。ちなみに犯罪歴があっても裏口でワーホリはできるらしい…この出会いでまたひとつ自分の中の何かが壊れた。

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最初の夜はジャンキー兄ちゃんを恐れていたが翌日お互い野球をやっていたことが判明しキャッチボールして仲良くなり彼らが他のファームへランナウェイ計画を立てていることを知る。理由は単純でグレープが稼げないと知ったから…

今まで考えもしなかったファームを変えるという選択肢に心が揺れ彼らと買い物を終えた帰り道。

ちょうどお寺ボーイが交渉していた日豪(日本語情報掲示板ウェブ)サイトのチェリーファームが3人受け入れるという美味しい話が浮上。

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神を信じた瞬間だった。

そしてミルデューラに来た3日目の夜に彼らは夜逃げし、自分も後を追い正式に断りを入れその2日後にミルデューラを離れ夜行バスでNSW州のグリフィスへ向かい現地集合。深夜だったが見送りに来てくれた人たちには申し訳ない気持ちでいっぱいに。
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8時間東へ移動し到着したグリフィスの印象はまず第一にハエ多!!後はなんか似てるけどすでにミルデューラが恋しい。

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駅でピックアップしてもらいバックパッカーに泊まった翌日、いきなりニューファーム衝撃の事実が…。
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なんとまたグレープ!!

WHY AUSTRALIAN PEOPLE!!??  KOREAN PEOPLE!!

実はチェリーの実りが天候不良により遅れまだピッキングができないからだと説明された。なら呼ぶな…というのが心の声。
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やむなく乗用車に相乗りさせてもらい畑へ。初めて見た野ウサギは死んでいた…結局3日間はグレープ畑の木の根元に生えた雑草の草むしり。ミルデューラへの罪悪感にかられる。

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待ちに待ったチェリーピッキングが解禁に。

早朝の畑は涼しく、木の存在だけでもオレンジを思い出し懐かしくるほど感傷的な時期。
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ひとり1つバケツとステップをもらいピッキング開始。1人木3本を与えられ終わり次第ブロックを変えていく。総勢50の服装、人種バラバラなピッキング集団が一堂に集まった朝のミーティングは異様な光景だった。

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ブラックチェリーなのでこれらは本当はあまり色が良くなくまだ採るのには早いのだが歩合制なのでそうは言ってられないのが事実。さくらんぼ狩りとチェリーピッキングは全くの別物だ。
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木を揺らせば結構な数が落ちてくる。2つ、3つ食べたらもういらない。結局収穫量は少なく稼ぎも聞いていた話やウェブの情報とはかなり異なりパッとしない日々が1週間ほど続いた。
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ある朝、突然マネージャーに呼ばれいつもと違う車に乗った。どうやら数名だけ別の畑に行くらしく行き先も何をとるかも知らないまま畑に向かった。

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ガーリックファーム!!!

第一声は小ちゃい畑だな…オレンジ、グレープと感覚が狂っていたのか畑の端と端が見えたのは初めてだった。立派に育ったガーリックをひたすらとって束ねて箱に入れる地上戦が始まりしかも初めての時給ジョブ。$21/時間!
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なぜか飛び上がるほど嬉しく凄い勢いでとった。ガニ股で歩くのは野球部時代のゴロ捕球練習で慣れていたためイージーだった。今思うと気絶しそう…体力と気力が違う。
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これはもう手作業でやるしかないのだろう。見たことのない量のガーリックの束が次々と箱に入れられトラックへ運ばれる。
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まじでがんばった。オーストラリア来て数ヶ月一番輝いていたかもしれない、、
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残念ながら時給制ためいくら採っても同じなのだが周りとは比べ物にならないスピード力でファーマーに褒められる。ご褒美にワインとイチゴ、そして木に生えていたオレンジをいただいた。
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この日のディナーは持ち帰ったニンニクを炒めcolesのオージービーフステーキとポテトスライス。認められたのが思いのほか嬉しくその記憶は今も鮮明に残っている。

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グリフィスの街の外れにあるモーテルからシティは歩いていける距離にあり図書館によく行った。そこで絵を描いていたら仲良くなかったガールズ。

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特に手前の子のドローイングは独特で将来おもしろいかもとか思ったり、風船の店もかわいかった。
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グリフィスでの生活を長くは続かなかった。給料やファームのセカンドビザ日数の引き継ぎなど問題も少々起きていたのが事実だ。

 

グリフィスでの生活を共にした謎の2人も元々ギクシャクしていたがついにコンビを解消した。

総括すればファームを変えて違う環境を知れたのは何よりも良かった。車を持っている人たちにドライブ代を払って畑に行くのが一般的なのだろう。それすら知らなかった。前のファームを思い出すことも多く頻繁に前のファームの人と連絡を取っている中で1度は辞めたところにカッコ悪いのは覚悟で謝って戻ることに決めた。